一
鎌倉幕府によって貞永(じょうえい)1年(1232)に編纂された我が国初の武家法である『御成敗式目(ごせいばいしきもく)』に「神は人の敬によって威を増し、人は神の徳によって運を添ふ」と見えます。つまり、神は人の「信仰心」によって、そのご神威を増幅され、祈った人はご神徳によって幸運にめぐまれるというのです。
また神棚におまつりする伊勢の神宮のお神札・神宮大麻(じんぐうたいま)は、明治以前には「御祓大麻(おはらいたいま)」また単に「御祓(おはらい)」と呼びならわされてきたように、その信仰の根源には清浄を尊ぶ我々日本人の民族精神が存在しています。よって1年に1度、新年を迎えるにあたり、神宮大麻も氏神神符(うじがみしんぷ)も新しいものを受け、神棚におまつりしましょう。
神霊の宿るお神札をおまつりする神棚を通して、神さまの真姿に近づき拝むことができ、朝に祈り、夕に1日の平穏を感謝する崇敬心という光りのあて方によって、ご神徳はさまざまに色が浮き上り、明るく豊かな暮らしが営めるものと信じます。
・神宮大麻(じんぐうたいま)…「お伊勢さま」の名で親しまれている伊勢の神宮におまつりされている天照大御神(あまてらすおおみかみ)さまのお神札です。
・氏神神符(うじがみしんぷ)…親しみを込めて「氏神さま」とお呼びするように、わたしたちを日々お近くでお見守りくださる各々の神社におまつりされている神さまのお神札です。
二
天照大御神は、神宮におまつりされているもっとも貴い神さまで、正式には「天照坐皇大御神(あまてらしますすめおほみかみ)」と申し上げます。皇室の祖先神・日本国の総氏神であり、全国津々浦々に鎮まります八百万の神々の象徴で、神さまの世界である高天原と私たちが生活する日本国である葦原中国に調和の光をもたらす神さまとしても尊ばれています。
このように天照大御神さまを中心として、地域の氏神さまとが協力し、私たちを日々見守ってくださっています。
三
平成25年、お伊勢さまと親しまれ、私たち日本人のこころのふるさとである伊勢の神宮では、20年に1度の「御遷宮」の佳節を迎えられました。
神宮にお参りすることを参宮といいますが、当年の年間参宮者は1000万人超ともいわれ、正に正宮(しょうぐう)大御前(おおみまえ)での参拝は、我々日本国民にとって最高の幸せであり、そのしるしとして、家族或いは個人でお神札・お守りを受けます。
そして我が富山県下においては、昭和四十三年頃よりお伊勢さまのお神札である神宮大麻頒布率第一位を記録しています。なぜ富山県で大麻頒布率がよいのかについてはいろいろな理由があるかと思いますが、私たちの祖先は日々の生活の中で、その都度、ご祭神への感謝と祈りとを込め、家庭でのお祭りをはじめとする祭儀や行事を斎行してきたに違いありません。
四
「おらっちゃ」は富山弁で、「私」の意。富山神青会員の神棚を紹介します。
-本格派-
三社造(さんしゃづくり)の神棚。扉の前には金幣(きんぺい)や盾(たて)もあり、神社さながらの本格神棚。
三社造の神棚。左右に大黒(だいこく)さまと恵比須(えびす)さまをまつり、銅製の狛犬(こまいぬ)が睨(にら)みをきかせています。榊(さかき)も立派!
正面にお伊勢さまと氏神さまのお神札をまつり、こちらは狛犬ではなく、狐が神棚をお守りしています。
-すっきり派-
ガラスケースに覆われ、いつもキレイに。
飾り棚を設け、簡易神棚をおまつりしています。アパートにお住いの方におすすめ!いかがでしょうか。
-こだわり派-
狛犬にかわり、産土(うぶすな)神社(じんじゃ)として信仰する天神様が側にいらっしゃいます。
・産土(うぶすな)…元々、氏族が共同でおまつりする神さま(血縁的な神)を「氏神」というのに対し、本来生まれた土地の神さま(地縁的な神)を「産土」といいました。
しかしながら、今日では、ほぼ同じ意味として用いられています。
簡易神棚は、お近くの氏神神社にご相談ください。
六
富山県神社庁発行「お参りのことば」PDFのダウンロードはこちら↓【準備中】